修士課程での研究の進め方

前期課程演習では何をするのか

このページについて

このページは,関西大学外国語教育学研究科博士課程前期課程への進学を考えている方や,田村研究室での学び方に関心のある方に向けて,「前期課程演習1(1年次のゼミ)では実際にどのようなことをするのか」を,できるだけわかりやすく説明するための補助的なページです。

募集要項やシラバスには,授業科目名や概要,到達目標などが書かれていますが,それだけでは,「修士課程の演習って結局何をするのか」「どのように修士論文につながっていくのか」が少し見えにくいかもしれません。そこでこのページでは,制度的な説明を踏まえつつ,より実感の湧きやすい形で整理してみます。

なお,ここに書く内容は,シラバスの正式な記載を置き換えるものではありません。あくまで,修士課程での研究生活や演習のイメージを持ってもらうための案内です。

前期課程演習の役割

前期課程演習は,修士論文あるいは課題研究レポートに向けた準備と土台づくりを行う場です。修士課程では,最終的に自分で研究課題を設定し,先行研究を踏まえ,方法を考え,データを集めて分析し,その結果を論文という形にまとめていくことになります。

ただし,もちろん入学時点でそのすべてができる必要はありません。むしろ,前期課程演習は,そうした研究の進め方を少しずつ身につけていくための場です。テーマの絞り方,論文の読み方,研究計画の立て方,方法論の選び方,発表や執筆の進め方などを,演習の中で具体的に学んでいくことになります。

言い換えれば,前期課程演習1(修士1年次に履修するいわゆるゼミ)は,「修士論文を書く前に必要なことを,実際にやりながら学ぶ場」だと考えてもらえばよいと思います。

春学期に主にやること

春学期は,研究の基礎を固める時期です。まだテーマが明確に決まっていない人も多いと思うので,まずは自分が何に関心を持っているのかを言語化し,それを研究可能な問いの形に少しずつ絞っていく作業が中心になります。

そのために,まず必要なのは,先行研究を読むことです。自分が気になっているテーマについて,すでにどのような研究があり,どのような問いが立てられてきたのかを知る必要があります。したがって,春学期には,文献検索の仕方を学び,関連する論文や書籍を読み,それを整理しながらレビューしていくことになります。

また,研究倫理について理解することも重要です。人を対象とした研究を行う場合には,どのような配慮が必要なのか,どのような手続きが必要なのかを早い段階で把握しておく必要があります。

この時期には,必ずしも「完成した研究計画」ができている必要はありません。ただ,自分がどのようなテーマに関心を持ち,それがどのような研究課題になりうるのかについて,ある程度の見通しを持てるようになることが目標です。

秋学期に主にやること

秋学期は,春学期に固めてきた関心や先行研究の理解をもとに,研究計画をより具体的な形にしていく時期です。

ここでは,どのような方法でその問いに迫るのかを考える必要があります。実験を行うのか,調査をするのか,既存データを分析するのか,あるいは複数の方法を組み合わせるのか。研究課題に応じて,適切な研究デザインを検討していきます。

また,必要に応じて,予備調査やパイロット実験を行うことも考えられます。実際に少し動かしてみることで,計画段階では見えなかった問題点や改善点が見えてくることも多いからです。

さらに,データの扱い方や分析方法についても,この時期に理解を深めていくことになります。テーマによっては,量的分析のための統計的知識が必要になることもありますし,質的なデータの整理や解釈の方法を考える必要がある場合もあります。

1年次の秋学期の終わりには,修士論文や課題研究レポートに向けて,「この問いを,この方法で,このように進めていく」という研究計画の骨格がかなりはっきりしている状態を目指します。

修士課程で身につけてほしいこと

修士課程で身につけてほしいことは,単にある分野の知識を増やすことだけではありません。もちろん,知識は大事です。しかしそれ以上に重要なのは,問いを立てること,先行研究を批判的に読むこと,自分の考えを根拠をもって述べること,そして必要に応じて計画を見直しながら研究を前に進めることです。

また,自律的に研究を進める姿勢も重要です。大学院では,教員がすべてを指示してくれるわけではありません。必要な情報に自分からアクセスし,困ったときには相談し,助言を受けながら自分で考えて進めていくことが求められます。

同時に,研究は一人だけで完結するものでもありません。演習の中で他の院生の報告を聞いたり,自分の考えを他者に伝えたりしながら,自分の研究を少しずつ磨いていくことになります。その意味で,前期課程演習は,個人研究の準備の場であると同時に,他者と学び合う場でもあります。

どのようなテーマの進め方がありうるか

研究の進め方は一つではありません。たとえば,既存研究を再現・追試する形でスタートすることもあれば,先行研究の一部を発展させる形で研究課題を立てることもあります。あるいは,自分がこれまで持っていた教育的・実践的な問題意識を,先行研究と結びつけながら研究課題にしていくこともあるでしょう。

大事なのは,「面白そうだから」だけで終わらせず,その問いが先行研究とどのようにつながるのか,どのような方法で検討できるのかを,少しずつ具体化していくことです。

修士課程では,独創性だけを無理に追い求める必要はありません。むしろ,まずは研究としてきちんと成立する形で問いを立て,方法論的に無理のないかたちで完遂することが大切だと思います。

おわりに

修士課程での研究生活は,最初から明確なテーマや完成した研究計画を持っている人ばかりが進めるものではありません。むしろ,演習の中で文献を読み,問いを絞り,方法を学びながら,少しずつ研究の形にしていくのが普通だと思います。

このページが,前期課程演習や修士課程での学びの流れをイメージする助けになれば幸いです。より具体的に田村研究室での指導方針や研究テーマを知りたい方は,案内ページの方もあわせて読んでみてください。